障害者の介護保障を考える会のブログ

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【朝日新聞記事】 悲願の「公的」24時間介護で自立生活 京都の難病男性

悲願の「公的」24時間介護で自立生活 京都の難病男性

足立耕作
朝日新聞 2016年5月20日10時06分

http://www.asahi.com/articles/ASJ5N369TJ5NUBQU008.html

 
 体に重い障害を抱えながら一人暮らしを続ける京都府内の男性(37)が3月、地元自治体との交渉の末、1週間を通して24時間の介護サービスを受けられ ることになった。障害者や難病患者が自立した生活を送るには、十分かつ長時間にわたる介護サービスが不可欠だ。京都でも弁護士らが行政との交渉を支援する 取り組みが始まり、20日には下京区で活動報告会がある。

 重い障害がある人は障害者総合支援法に基づき、公費による介護サービスが受けられる。そのひとつ、「重度訪問介護」は長時間介護が必要な人のもとにヘルパーを派遣し、生活を支援する。派遣する時間数は自治体の裁量に委ねられている。

 男性は5歳で脳の難病「ダンディー・ウォーカー症候群」と診断された。重い身体障害で自力歩行ができず、はって移動する。骨格異常や視覚障害があり、食事やはいせつ、入浴、衣服の着脱など日常生活のほぼ全般で介助が必要だ。知的障害もある。

 男性は2年前の夏に実家からアパートに移った。5歳離れた弟も重度の身体障害があり、2人同時に介護する両親の負担を軽くするため、一人暮らしを決め た。当初、男性が自治体に認められた介護サービスは月297時間。週末は実家に戻って両親に介護してもらう。平日はアパートの自室で17時間の「重度訪問 介護」を受け、デイサービスも含めると24時間の介護が受けられていた。

 ところが半年ほどたって、自治体が「夜間は生命にかかわるような危険性がない」と夜間の介護を減らす方針を示した。


 男性は「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット京都弁護団」に相談し、弁護団が自治体と交渉を開始した。弁護団は介護記録に基づき、夜間の頻尿 や不安になると嘔吐(おうと)など体調不良が生じる実情と、「医療的に24時間介護が必要」という医師の意見書を示した。両親の介護疲れも考慮して介護 サービスを増やすよう訴えたところ、週末の24時間介護も受け入れられ、月583時間の介護が認められた。

 男性の母親(60)は「子どもと死ぬまで一緒にいたい。でも私や夫が今後動けなくなったらどうしようと不安が募っていた。元気なうちに自立して暮らす道筋をつけたかった」と話す。

 京都弁護団によると、全国では介護サービスの支給時間を不服として裁判で争われるケースも多いという。浅井亮弁護士は「支給時間の決定は自治体に任され、十分な公的サービスを受けられない人も多い。その場合は弁護士にぜひ相談してほしい」と呼びかけている。